風邪をひいてしんどい時は、あたたかくして布団で寝るというのが基本ですが、それと併せて、風邪に効く食べ物を効果的に摂取することがとても重要です。これは何故かと言うと、風邪でうなされて布団の中でじっとしていても、体の中ではウイルスや細菌と常に闘っていて、エネルギーは消費しているからなんですね。
そこで、風邪の症状別に効果がある食材や食べ物を摂って、エネルギーを補給し、免疫力を高め、できるだけ早く風邪を治してしまおうと言うわけです。ただ、闇雲に風邪に効く食べ物を摂取しても効率は良くありませんよね。
なので、ここでは風邪に効く食べ物の効果を最大限に得るために、どのタイミングで何を食べたら良いか。風邪の症状別に最も効果的な食べ物は何か。さらには、手軽にコンビニでも買えて風邪に効く食べ物などなど、詳しく見ていきましょう。
目次
風邪に効く食べ物
普段生活していると、いろいろなところで腸内環境を整えよう!といったことをよく見聞きすると思います。これは、人間の体の健康は腸が支配していると言っても良いくらい、腸は重要な器官なんですね。
腸にはたくさんの免疫細胞が存在しています。そして通常は口から入った風邪の菌など、体に害があるものは腸の免疫器官で体外に排出されます。しかし風邪をひくと、腸の働きが悪くなり正常な働きをしなくなるので、まずは腸内環境を整えるべく、免疫力を向上させる食べ物を摂取することが大切になってきます。
さらに、ビタミン類など抗酸化作用のある食べ物も積極的に取り入れることで、細胞の老化を防ぎ免疫力の向上にもつながっていくというわけです。
風邪の症状に効果的な食材
■ 生姜(しょうが)
漢方薬の葛根湯にも生姜の成分が多く含まれていて、体を温める効果があります。殺菌作用、咳止め、吐き気止め、頭痛などにも効果があり、風邪には必須の食材のひとつです。
■ ねぎ
ねぎの持つ殺菌作用は有名です。単独で食べても、カルシウム、ビタミンK、ビタミンC、βカロテンなど、豊富な栄養素を含んでいます。また、ねぎの辛み成分のアリシンは、ビタミンB1の吸収を助けるため、豚肉などとの摂取が効果的です。
■ にんにく
ねぎ同様に強い殺菌作用があります。刻んだりすりつぶしたりすることで、より多くのアリシンを発生させることができます。にんにくには、疲労回復や血行促進の効能があります。
■ ニラ
ねぎ同様に、ニラの独特のにおいはアリシンが元になっています。βカロテン、ビタミンCなど豊富に含んでいて、免疫力の向上や疲労回復、滋養強壮の効果があります。レバーと食べると効果的です。
■ 大根
胃の働きを助け、消化を促進する効果があります。また大根のエキスには消炎作用もあり、風邪のときにはよく用いられる食材です。
■ たまご
多様な調理法で、他の食材と併せて調理しやく、アレルギーがなければとても使いやすい食材です。ビタミン類、タンパク質が豊富に含まれています。
■ 納豆
言わずと知れた栄養満点の食材です。タンパク質をはじめ、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄分、ビタミン類など、栄養価も高いです。たまご、ねぎとの相性もよく、合わせて摂取しても効果的です。
■ 豚肉
タンパク質を摂取できるほか、豚肉には多くのビタミンB1が含まれているのも特徴です。体力が落ちているときに摂取したい食材で、ネギと合わせて食べることでより高い効果が得られます。
■ レバー
βカロテンやミネラル、ビタミンB1、ビタミンB2鉄分など、とても多くの栄養素を含んでいる優秀な食材です。
■ れんこん
風邪の時、咳止めや痰の解消にも効果があり、胃腸の調子も整えてくれます。ビタミンC、カリウム、タンニン、食物繊維などバランスよく含まれていて、油を使った調理法がお勧めです。
■ りんご
クエン酸やりんご酸を多く含み、殺菌効果が得られます。カリウムやミネラル、食物繊維が多く、風邪で弱った胃腸を助けてくれます。食欲がない時にも比較的摂取しやすい食材です。
■ じゃがいも
芋類の中でも特に多くのビタミンCを含んでいて、加熱調理してもビタミンCが損なわれないのが特徴です。またカリウムや食物繊維も含んでいて、腸の働きを助けてくれます。
■ 豆腐
高タンパクで消化が良く、風邪で喉が荒れて痛い時でも刺激が少なく摂取しやすいです。
風邪の症状別で効果的な食べ物
風邪に効く食材はいろいろあることがわかりましたが、「これらの食材をどのように調理して、どのタイミングで食べると最も効果が得られるのか。」と言うことで、ここからは食材を使ったより具体的な調理法と、風邪の症状別に効果のある摂取の仕方を見ていきます。
風邪の予兆があるとき、又はひき始め
自己免疫力が低下している時などは、風邪の予兆を感じることがあります。喉に違和感を覚えたり、実際に喉の痛みや咳、鼻水や寒気など、風邪の初期症状が現れたときは、とにかく質の良い食事を心がけ、免疫力を高める効果の食べ物を意識して摂るようにします。
風邪の初期症状には、ビタミンAを多く含む食材が効果的です。
βカロテンは体内でビタミンAに変わり、粘膜を強くしたり免疫力を高め、風邪の予防に効果を発揮します。例えばβカロテンを多く含む、にんじん、ほうれん草、小松菜、春菊などをふんだんに使った野菜スープや、ポトフなどは比較的食べやすく、効率よく抵抗力や免疫力を高めることができます。
■ 野菜スープ
野菜には食物繊維が豊富に含まれていて、腸の調子を整えてくれるので積極的に摂取したいところですが、風邪のひき始めは胃腸が弱っていることが多く、逆に食物繊維が負担になってしまうこともあります。
なので、野菜をできるだけ細かく切って、スープやポトフなどの調理法で、しっかり煮込んで柔らかくして食べることが重要で、最も効果的な食べ方と言えます。また、喉に違和感や痛みが出始めたり、食欲が落ち始めた頃でも、スープなら比較的食べやすく、色々な野菜がたくさん摂れるのでオススメです。
■ 生姜湯
生姜には強い殺菌力があり、風邪の予防や風邪のひき始めに効果がありますが、実は生姜の効能はそれだけにとどまらず、とても多くの効果をもたらしてくれます。体の中から内臓を温めてくれたり、消化の吸収を助けてくれたり、免疫力の向上、解熱鎮痛作用、吐き気止め、胃腸の機能を高めるなどなど…。
これらの恩恵を最も手軽に受ける方法として、生姜湯にして飲むという選択があります。そして最も効果的なタイミングとしては、夜寝る前に飲むと言うことです。
生姜のパワーで腸が温められ、寝ている間に腸の機能を高めることができると言うのは、風邪のひき始めにはとてもありがたいことですよね。
熱が出て風邪の症状がピークの時
風邪の症状が悪化してきて熱が出ると言うことは、体の中の免疫細胞が、ウイルスや風邪の原因菌と闘っているということなんですね。
体中の免疫細胞の約7割が腸に密集していると言われていますが、その免疫細胞が活性化され、ウイルスと闘うにはエネルギーもたくさん消費されます。そのためにもしっかり栄養を摂ることが求められますが、実際には体力も低下し、胃腸の働きも弱ってきていると、なかなか食欲が出ずに、食事をとることも難しくなってきます。
そんなときは無理に食べても逆に胃腸に負担をかけてしまうので、水分やゼリーなど体が受け付けるものだけ摂取して、その他のものは食べないという選択もありますよね。
ただ、食事もできず、水分もとれず、胃腸の働きが悪くて下痢などしている場合には、脱水症状に注意する必要があります。特に大人に比べて、子どもは体が小さく脱水症状になりやすいので、水分の補給にも心がけるようにしましょう。
■ すりおろしりんご
りんごをすりおろしただけですが、りんごにはミネラルやクエン酸、りんご酸、食物繊維などバランスよく含まれています。特に食欲がなく、ぐったりしているお子さんでも、すりおろしりんごなら比較的食べやすく、何より水分を補給することができます。
すりおろしたことで弱った胃腸にやさしく、腸から栄養を吸収しやすくなると言うメリットもあります。
もし食欲があるようなら、風邪のときに効く食材の「ヨーグルト・はちみつ」を混ぜて食べても効果的です。
■ 湯豆腐
健康食品とも言われる豆腐には、豊富なタンパク質とその他の多くの栄養素がバランスよく含まれていて、風邪の時には欠かせない食材です。免疫力を高め、体力をもつける豆腐は、風邪で食欲がないときや、喉が痛いときでも食べやすく、調理法も簡単で重宝しますよね。
湯豆腐として、ねぎと一緒に食べても効果的ですが、もし食欲があるようなら、調理の幅も広いので、お好みでいろいろアレンジも可能です。逆に熱が高く食欲がないときは、冷奴豆腐としてなら食べられるという人も多いと思います。豆腐自体やわらかく、弱った胃腸にもやさしいく、栄養も吸収されやすいので、体調の悪いときには是非摂取したいですよね。
■ お粥・れんこん粥・芋粥
どうしても風邪の症状が悪化しているときは、なかなか食事を摂ることが難しいときもありますが、そんなときはまずお粥を試したいですよね。食材のところでもお伝えした「れんこん・梅干し・さつまいも」は、どれも風邪のときに効果的な具材なので、その時の気分や好みで調理するとよいと思います。
■ はちみつ大根
はちみつ大根といえば、子どもの頃に作ってもらったとか、おばあちゃんから作り方を教わった、という人も多いのではないでしょうか。
このはちみつ大根は、もう本当に喉が痛くてつらいときや、咳が止まらず苦しいときなどには、かなり即効性があり欠かせない存在ですよね。もしまだ試したことがないという人は、材料さえあればとても簡単に作れるので、是非作ってみてください。
【はちみつ大根や生姜湯などの詳しい作り方は、こちらの記事内でもご紹介しています】
⇒ 咳が止まらない!特に夜にひどくなるとき、自分で簡単に止める方法
風邪の症状がおさまり回復期の時
風邪のピークが過ぎて熱が下がってくると、体のだるさが抜けて喉の痛みもおさまり、全体的に症状が回復して食欲も出てくると思います。しかし、体感的に回復したように感じても、弱っていた胃腸は急には良くならないので、あまり負担をかけず軽めのものから摂取するように心がけましょう。
■ おろしうどん
うどんは消化が良く、弱った胃腸の回復期にはとても食べやすいですよね。さらに<すりおろした大根が、胃の働きを助けて消化を促進する効果も得られます。
もし食べられそうなら、高たんぱくで低脂肪の鶏肉をトッピングで使うなど、胃腸と相談しながら具材をプラスしていくことも可能です。薬味に生姜やねぎを使えば、風邪のこの時期にはとても効果的な一食となります。
【より効果的なねぎの使い方など、こちらの記事でご紹介しています】
⇒ ネギの栄養と効能が凄い!食べ過ぎがダメな理由?白と緑の違いとは?
■ 常夜鍋
作って簡単、食べても美味しいのがこの常夜鍋(じょうやなべ)ですが、風邪のときは常夜鍋を食べて、風邪を一気に吹き飛ばそう!と言う人も多いと思います。
実はこの鍋、風の時にぜひ摂取したい食材の「豚肉・豆腐・にんにく・生姜・大根・ほうれん草」などが入っている、とても優秀な鍋なんですね。食材の消化が良く、常夜鍋一食で摂れる栄養も豊富で、体力が落ちているこの時期にはぴったりな鍋です。
ちなみに常夜鍋の名前の由来は、毎晩食べても飽きないほどおいしいとか、一晩中食べていたいほどおいしい。と言うところから来ているそうです。
コンビニでも買える風邪に効く食べ物
風邪の症状がひどく、しんどくて自炊することが大変な時や、一人暮らしの場合でも、風邪に効く食べ物を手軽で簡単にコンビニで買うことができます。ポイントは、自分が食べたいと思うものの中から選ぶと言う事も大切ですが、風邪の時は特にビタミン・ミネラル・タンパク質を積極的に摂るように心がけたいですね。
コンビニには数多くの飲料水が売られているので、脱水症状にならないように、スポーツドリンクや野菜ジュースなどを買っておくと便利です。ただ、風邪の時はビタミンやミネラルが不足がちなので、糖分の多いジュースなどは避けるようにしましょう。
またコンビニならではのものと言えば、インスタントのお味噌汁やスープ、調理済みの缶詰のおかずなどもあり、手軽に栄養補給することができます。さらに、年中果物が置いてあるコンビニもあるので、不足しがちなビタミンを果物から摂取することも可能です。
コンビニで手軽に買える風邪に効く食べ物
- ヨーグルト
- 茶碗蒸し
- ゆでたまご
- レトルト食品(うどん・お粥・チキンサラダ)
- インスタント食品(味噌汁・スープ)
- 缶詰のおかず(鶏肉・豚肉)
- おでん
- 果物(バナナ・りんご)
- 野菜ジュース(糖分の少ないもの)
- ゼリー
- etc.
まとめ
風邪のときは、布団の中で寝ているだけでもエネルギーを消費していきます。なので何か食べられそうなときは、胃腸にやさしく免疫力を高めるものを意識して、食事をとるようにすることが重要ですよね。
また、風邪の症状にあわせて、自分の体とも相談しながら、どのタイミングで何を食べると効率が良いのかを考え、少しでも早く回復できるようにしていきたいですね。