しじみといえば、しじみのエキスがいっぱい入ったお味噌汁が頭に浮かぶ人も多いのではないでしょうか。二日酔いで迎える朝食には、しじみのお味噌汁が良い!なんて言われていたりもします。
そんな栄養豊富で美味しいしじみですが、貝ということで砂抜き作業も必要なんですよね。スーパーでしじみを買って来て、調理していざ食べようと思ったら、しじみが砂を噛んでいて失敗した。という人も意外に多いのではないでしょうか。
と言うことで、しじみの砂抜きを失敗なくできるだけ短時間で早く終わる方法や、しじみを冷凍保存すると得られるメリットなど、詳しくご紹介していきます。
しじみの砂抜き方法と特徴
しじみに限らずあさりやはまぐりなど、貝の砂抜きをする場合は、その貝が生息していた場所と同じ条件にするというのが一つのポイントになります。同じような状況を作り出すことで、貝は安心して活発に動き出し、砂抜きも捗るということなんですね。
現在、日本の食卓に上がるしじみのほとんどが、大和しじみと言われるしじみで、河口の淡水と海水が入り混じる汽水域という場所に生息しています。汽水域は塩分濃度が0.3%〜0.5%程度とされているので、しじみの砂抜きをする際は、真水ではなく塩水で行うのが効率が良いということなんですね。
さらに、浸透圧の関係で、砂抜きの水の塩分濃度の方がわずかに高い方がしじみの旨味が逃げないという理由から、しじみの砂抜き作業には塩分濃度1%の塩水を使うようにしましょう。真水で砂抜きをすると、しじみの旨味が流れ出てしまい、1%以上の塩水を使うとしじみが弱ってしまったり砂を吐き出さなかったりするので、注意が必要です。
また、スーパーでラップされたしじみを買って来ても、砂抜き作業は必要なんですよね。ただ、あさりなどと比べて、しじみは砂を吸い難い貝なので、砂抜き済みのものを購入した場合はそのままで大丈夫ですが、気になる場合は、短めの時間で砂抜きをすると良いかもしれませんね!
しじみの砂抜きで準備するもの
・バット
・塩分濃度1%の塩水
・新聞紙
・密閉型のフリーザーバッグ
- ザルとボウルは、しじみを水道水の流水で洗うのに何度か使用します。
- バットは平らな網などで、底上げの二重底構造になるものであれば何でもokです。(網の目から小粒なしじみが落ちないもの)
- 砂抜きに使用する塩水をつくります。水500mlに、塩 小さじ一杯(約5g)で1%の塩水になります。
- 新聞紙は、砂抜きをしている時にしじみの入った容器に被せて蓋をしたり、しじみを保存するのに使用します。
- フリーザーバッグは、小分け用に数枚あると便利です。
しじみの砂抜き手順とポイント
- ザルにしじみを入れて流水で洗う
- 網などで底上げされたバットにしじみを並べ入れる
- しじみが浸るくらいまで塩水を入れる
- 新聞紙を被せて蓋をして2〜3時間おいておく
- ザルに取り出し流水で洗う
- 塩水を捨てた状態で再度2.を行う
- 3時間ほど放置後、流水で洗って完了
上記がしじみの砂抜き方法の簡単な流れになります。それでは早速、手順ごとのポイントを詳しくチェックしていきましょう!
1. ザルにしじみを入れて流水で洗う
スーパーで買って来たしじみは冷蔵庫に入れるのではなく、まずしっかり洗います。両手でしじみをすくい、擦り合わせるようにゴロゴロと洗います。このとき必ず流水で洗うようにします。
・貝が開いてしまっているもの
・ゴロゴロ洗いの時、音が軽いもの
・異臭がするもの
これらのしじみは既に死んでいるので、早めに取り除いておきます。一緒にしておくと、他のしじみも傷んでしまいます。
2. 網などで底上げされたバットにしじみを並べ入れる
しじみとしじみが重ならないように置いていきます。もしスペースに余裕があるようなら、しじみをあまり密集させないようにしましょう。しじみが密集しすぎた場合、この次の工程で入れる塩水中の酸素濃度が下がり、しじみが弱ってしまう原因になります。
また、上に積み重なるように置くと、上のしじみが吐いた砂を下のしじみが吸ってしまい、上手く砂抜きができないので注意が必要です。そして、しじみが吐いた砂や排出物だけが、網の下のバット底に溜まることになります。
3. しじみが浸るくらいまで塩水を入れる
このとき塩水を入れる量ですが、しじみがギリギリ浸るくらいまで注ぎます。塩水の水温が低すぎるとしじみが砂を吐くのに時間がかかり、逆に水温が高いとしじみが弱ってしまうので、一般的に20℃位が目安になります。
この塩水は、水500mlに対し塩 小さじ一杯(約5g)で塩分濃度1%の塩水になりますが、水道水には塩素(カルキ)が含まれているので、カルキ抜きの水で作るとさらに効率よく砂抜きがはかどります。水道水を事前に汲み置きしておくことで簡単にカルキは抜けますが、ない場合は水道水で作った塩水でも大丈夫です。
4. 新聞紙を被せて蓋をして2〜3時間おいておく
しじみの上に新聞紙をかぶせておくことで、光を遮断してしじみが生息する河口の底や、干潟の泥の中に近い状態を作り出します。
かぶせられた新聞紙の下でしじみは安心して活動し始めて砂を吐きますが、振動や衝撃を与えると貝が閉じてしまうので、できるだけ涼しい場所で安静に置いておきます。必要以上に長い時間置いておいても砂をいっぱい吐き出すということはありません。
逆に、塩水が汚れてきた状態で長く放置しておくとしじみが弱ってしまうので、3時間程度を目安にしましょう。
5. ザルに取り出し流水で洗う
砂抜きの時間が経過したら、再度しじみをザルに取り出して1.の工程と同様に、流水でしじみを擦り合わせるように洗います。この時、死んでしまったしじみがないか確認して、見つけたら取り除いておきます。
6. 塩水を捨てた状態で再度2.を行う
再度しじみを並べたら、このまま水の無い状態でしじみを空気に晒して放置しておきます。ただししじみは乾燥に弱いので、湿らせたキッチンペーパーや湿らせた新聞紙などを上にかぶせておきます。
7. 3時間ほど放置後、流水で洗って完了
しじみに限らず、あさりやはまぐりの貝類は、砂抜きが終わったら空気に晒して放置することで、貝に含まれる旨味成分でもあるコハク酸を増加させることができます。このひと手間をかけることで、しじみは濃厚で美味しくなりますので、涼しいところに置いておきましょう。
3時間ほど経ったら流水で綺麗に洗って完成です!
しじみは冷凍保存がおすすめ!
砂抜きが終わったしじみは、湿らせた新聞紙に包んでビニール袋などに入れ、冷蔵庫に保存すれば3日ほどは美味しくいただくことができます。
鮮度の良いしじみは、身を食べてもプリプリで美味しいですが、ここで特筆すべき点としては、しじみの冷凍保存で得られる効果がとても大きいということなんですね。通常あらゆる食材は、冷凍保存すると味が落ちるなどのマイナス要素が目立つのですが、しじみの場合はその逆でプラス要素の方が多くなります。
しじみを冷凍すると、しじみの旨味成分のグルタミン酸・オルニチン・アラニンなどが増加するのです。よく二日酔いのときなど、しじみのお味噌汁が良いと聞いたことがあると思いますが、これはしじみに含まれるオルニチンが肝機能の向上に一役買っているからなんですね。
しじみを−4℃に凍らせると、しじみに含まれるオルニチン量がなんと8倍になるということは既に実験からわかっています。ただし、冷凍すると細胞は壊れてしまうので、しじみのプリプリした弾力感などは損なわれます。なのでどうしてもしじみの弾力のある身が食べたいときや、調理法によっては冷蔵がいい場合もあります。
しかし、栄養面や味の面でも美味しく効率よくしじみをいただきたいと言う場合は、砂抜きとコハク酸増加の工程が終わった時点で、すぐに冷凍してしまいましょう!
また、あさりやはまぐりと違って、しじみは粒が小さいので、身をメインで食べるよりも、味噌汁等の汁物でふんだんにしじみのエキスが出汁として出るような調理法に多く用いられると思います。
以上のことから、しじみは冷蔵より冷凍保存の方が優れている!ということなんですね。
冷凍するときは、口が密閉できるビニールの袋などに、できるだけ空気を抜いて小分けして保存します。冷凍したしじみは、2〜3ヶ月は美味しくいただけます。また、冷凍のしじみを調理する際は、自然解凍するとしじみの貝が開かないので、凍ったしじみを直接火にかけ調理するようにしましょう。
まとめ
記事の中で全部は触れていませんが、しじみには肝機能の向上や疲労回復にも効果があるオルニチンやタウリンをはじめ、ビタミンB12やカルシウム、旨味成分のコハク酸やグルタミン酸など、本当に多くのものが詰まっています。
故に、正しい砂抜き方法でその栄養の素を小さなしじみの粒に閉じ込めて、それを賢くギュッと濃縮させ倍増させ、美味しくいただきたいですよね!
小さなお子さんからお年寄りまで、その小さなしじみから大きなパワーをもらって、美味しく健康な食生活を送っていきましょう!
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